約 3,891,012 件
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/289.html
ぱらりと、紙をめくる音が響く。 学校の帰りにコンビニで買ってきたマンガ雑誌だ。 今読んでるのは、良くあるバトルもの。どのくらい良くあるかと聞かれれば、お爺ちゃんの家で読んだ三十年前のバトルまんがと大筋が変わらないくらい、よくある話だ。 お爺ちゃんや父さんに言わせれば、「連綿と受け継がれた様式美の極み」なんだそうだけど。 ちょっと話が逸れた。 今見ているのは、見開きで描かれた、敵の新必殺技が炸裂するシーンだ。 さらりと見て、ぱらりとめくる。 「あ、まだそのページ読んでない」 「ごめん、ジル」 傍らから聞こえてきた声に、ページを戻す。 どうやら彼女は、見開きの大きなコマを読むのが余り得意じゃないらしい。 「うし、いいよ」 めくった次のページは、戦いを見守る仲間達が敵の必殺技の詳細を解説するシーンだった。 「なー。まだ読み終わらないの?」 小さなコマは読みやすいのか流しているのか、読むのが異様に早い。 「はいはい……」 必殺技の種明かしは後で読み直したときの楽しみにするとして、次のページへ。 「そうだ、十貴」 次回に続くで雑誌を閉じれば、机の上でマンガを覗き込んでいた『彼女』が口を開いた。 「何? やっぱり肩に乗って読む方が良い?」 身長十五センチのジルにとって、机の上に広げられたマンガを読むのは結構な大仕事らしい。考えたら、机の上に広げたマンガ雑誌を、同じ机の上に顎を乗せて読んでいるようなものだ。 一度同じやり方で雑誌を読んでみたら、五分くらいで力尽きたことがある。 「や。それは慣れたからいいんだけどさ」 じゃ、何だろう。 「この一週間すっかり忘れてたけど、あたしの武装は?」 武装って……? 「……十貴」 ジルの声が、一オクターブ下がった。 あ、これ、怒ってるときの声だ。 「な、何?」 「あたしの商品名は、何だ?」 えっと確か、武装神…… 「……あ」 「今まであたしがバトルフィギュアだって忘れてたろっ!」 次の瞬間、ボクの額にはジルの右足が叩き込まれていた。 っていうかそれ、ほのぼのとバトルまんが読んでる奴に言われたくないよっ! 魔女っ子神姫 マジカル☆アーンヴァル ~ドキドキハウリン外伝~ その2 「いや、バトルフィギュアだってのは覚えてたんだけど……」 押さえた額には、ご丁寧に十分の一スケールの足跡が刻み込まれている。 「何だ」 対するジルは既に机に着地した後。ものすごく偉そうに腕を組んで、こちらを見上げている。 見上げてるのに、見下ろされてる気になるのはどうしてだろう。 「何というか、父さんの超合金とか気に入ってたし、専用武装出す必要ないなぁとふみゃっ!」 また蹴りが来た。 「ばかやろう! ありゃ趣味だ!」 金色のハンマーを抱えてみたり、ミサイルランチャーを腕に付けてニヤニヤしてたのって、趣味だったんだ。 「それに専用装備じゃないと公式バトルに出られないだろうがっ!」 これだけ凶暴なのに、武装なんか加わった日には……どうなるんだろう、ボク。『中立地帯』の張り紙も三日くらいで効果なくなっちゃったし、なんかボクの体が本気で保たない気がしないでもない。 「ていうか、バトルに出る気あったんだ……」 「当たり前だろ! 神姫ってのはそういうもんだ!」 こんな血の気の多いロボット娘達が、武装までしてド突き合うの? 嫌だ。それ本気で嫌だ。 しかもそれにボクが巻き込まれるとか、洒落になってない。 あ、でも……。 「っていうか、まだ神姫って正式発売されてないから、公式バトルもへったくれもないんじゃ……」 「あ……」 ジルの動きが一瞬止まり。 「そう言うことは先に言えっ!」 次に来たのは、やっぱり容赦のない蹴りだった。 一週間ぶりに取り出された神姫の箱の中には、様々な武装がひとセット納められていた。まだテストショット段階だったのか、塗装の済んでいない装備もちらほらと入っている。 「……ふむ」 二の腕のジョイントに凶悪そうなデザインの片手剣を取り付けながら、ジルは満足そうな笑みを浮かべた。 「ロケットパンチもいいけど、やっぱりこれがしっくり来るな」 そんなことを呟きながら、今度は手首のジョイント機構を解放する。解放信号を受けた形状記憶合金製のリングが平らな板状に展開し、接続待機状態へ。 そこに装備を近付ければ、展開していた金属板が装備にしゅるりと絡み付き、基部に備えられたハードポイントに武装をしっかりと接続・固定する。 「初めて見たけど……。すごいね、そのジョイント」 外観のイメージとしては腕時計に近い。 腕時計のベルトの部分が武装固定部品となる展開式の金属板で、文字盤の部分がパワー供給部を兼ねたハードポイントだと思ってもらえばいいだろう。 この機構のおかげで、神姫は装備の接続部分の形状を気にすることなく、自由自在な装備を行うことが出来るのだという。 「だろ。便利だぜ?」 慣れれば、手が塞がっていてもその辺のものをつまんだり、ドアノブをひねったり出来るらしい。 「そうなんだ……」 両足をオプション武装に付け替え、背中には大型腕を装備。 身長は二割増といったところか。四本腕と、翼にも見える曲がりくねった刃を備えた異形のシルエットこそが、ストラーフの完全武装モードらしい。 その姿は、悪魔というよりまさに怪物といった……。 「ンだよ、十貴」 うわバレたっ! 「いや、別に……」 マズい。 この姿のジルに蹴られたら、ホントに死んじゃうよ。足の甲にもなんか刃物みたいのがあるし、そもそも脚力は十倍くらいになってそうだし、回し蹴りとか来たらとか、考えただけでも恐ろしい。 「その目はあれだろ! なるほど悪魔だなとか、そういう事考えた目だろ!」 「ち、ちがうよぅ」 もっとヒドいこと考えてたなんて……。 「まあいいや。これでマンガも読み放題だし、十貴の隠してるエロ本も探し放題っと」 ……え? そりゃまあ、その腕ならマンガのページだってめくれるだろうけどっていうか、エロ本って何! 「そもそもジル、その武装で公式バトルに出るのが目的じゃなかったの?」 「公式バトルはまだ始まってねえぜ?」 ニヤニヤと笑うジルの目は、「さっきお前が言ったばっかだろ?」と意地悪く囁いている。 「それに、お前の父さんのレビューが終わったら、あたしはメーカーに戻されるだろうしな」 あ……。 そう、か。 ジルは父さんが借りてきた、レビュー用の神姫なんだっけ。 「ま、短い付き合いになるだろうけど、よろしく頼むわ。マスター」 どこか寂しそうに微笑みながら、ジルは背中から伸びた大型腕をこちらにすいと向けてくる。 「うん……」 ジルの手は小さくて、指先でしか握手できなかったけど、大型腕はしっかりと握り返すことが出来た。 「だから返される前に、青春の秘密が置いてある場所だけ教えてな」 いや、そもそもそんなもの持ってないから! 向かい合ってレトルトのカレーを食べながら、父さんがぽつりと口を開いた。 「なあ十貴」 「レトルトなら別に気にしないでいいよ」 父さんが食事当番の日はいつもこうだ。仕事も忙しいみたいだし、二人の食卓にももう慣れた。 普通に離婚しただけだから、母さんとはいつでも会えるしね。 「それは分かってるから良いんだが……ジル、どんな感じだ?」 ああ、そっちか。 「父さんはあれいい感じだと思うんだけどな。ネットの前評判は今までの自律式アクションフィギュアの二番煎じだとか何とか言われてるけど、今回はちょっと違う気がするんだよなー」 AI搭載型の自律式小型ロボットは、何も武装神姫が初めてじゃない。 特にロボット技術の小型化が飛躍的に進んだここ十年は、様々な自律式アクションフィギュアが世の中を席巻してきた。 「GFFとかSRWのこと?」 生誕五十周年企画として発売された超小型ロボットを使った対戦ゲームに始まり、自作武器の規定まで盛り込んだ無差別ジャンルのロボット戦に、ヒーローフィギュアを使った多人数戦、果てはぬいぐるみにAIや駆動機構を組み込んで対戦させるといった良く分からないものまで、数限りない企画が生まれ、消えていった。 「あの辺も面白くはあったけどなー。何だかんだ言ってバトル特化だっただろ?」 「まあ、そうだね」 何度か父さんがレビューで借りてきたロボットで遊んだことがあるけど、長続きした覚えがない。わざわざ買ってまで遊ぼうと思ったものに至っては皆無といって良かった。 せいぜい、害虫駆除用に使えるってことで、ホイホイさんとコンバットさんを買ってきた程度だ。 「今回はバトルとコミュニケーションの両方を攻めるコンセプトで作ってあるみたいだし、ハマれば流行るんじゃないかなぁ?」 だから、武装神姫はこの手のジャンルとしては最後発。ひいき目な見方をすれば、今までのジャンルを全て取り込めるポジションにあるとも言える。 「本音は?」 「父さんのコレクションを分かってくれたAIロボットなんて初めてだ」 「やっぱりそっちなんだ……」 前に借りてきたバニング大尉仕様のジムカスタムは、父さんが愛して止まないドリルを全否定してたしね。随分と渋い声で喋るジムカスタムだったけど、性格のベースになったキャラに何か嫌な思い出でもあったんだろうか? 「ん? 十貴はジルと合わないか?」 「そういうわけじゃないけど……」 ジルは言葉遣いは荒いし、すぐ手が出るし、セクハラネタばっかり振ってくるし……。 ……でも。 ……。 ……でも。 ……。 「……ごちそうさま」 何となく食欲が無くなったボクは、そのまま席を立った。 「十貴。ちゃんと食べないと大きくなれないぞ?」 「いいよ別に」 本当は全然良くないけど、そこで戻るのも癪だったので一息に部屋を後にする。 「……反抗期かねぇ」 残された男は、静かにため息を吐いた。 「ジルとは長い付き合いになるんだから、もうちょっと仲良くして欲しいもんだが……」 食事の間は控えていたタバコに火を点け、胸の奥まで吸い込んでやる。禁煙運動華やかりし二十世紀末に生まれた彼だが、今となっては当時の教えを快調に逆行する、重度のヘビースモーカーだ。 ラベルの八割を占めるようになった注意書きをぼんやりと眺めながら、煙混じりの息を長く吐く。 「武装神姫の長期レビューは前途多難、か」 レビュー期間は一年半。公式大会への参加が条件で、レビュー期間が終わった後の神姫はこちらで引き取っていい事になっていた。 その条件を息子にまるまる伝え忘れていることに気付くのは、それからさらに一週間ほど経ってからの事となる。 戻る/トップ/続く
https://w.atwiki.jp/dponpc/pages/17.html
201ばんどうろ 道路 poke_03_017.PNG.poke_nc002.PNG.poke_nc038.PNG.poke_nc039.PNG
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/1364.html
{ストラヴァル&ストレガの誕生だぜ} アンジェラスの視点 「…ムニャムニャ…ンゥ~?」 クレイドルで寝ていた私は目が覚めて、いつもの天井が見える。 部屋は薄暗く目を細めながら時計を見ると小さい針は三時をさしていた。 なんでこんな中途半端な時間に起きてしまったのか分からないけど、何故か起きてしまった。 ふとベットの方を見るとご主人様が寝ていなかった。 正確に言うと居なかった、というのが正しい。 ご主人様、何処に行ったのでしょうか? 私は起き上がり、窓の下を覗き込んでみる。 うん、ご主人様の愛車はあるっと。 外に出ている、というわけではなさそう。 家の中の何処かにいるはずです。 私は机から飛び降り、武装神姫用のドアを開けて一階に行った。 台所・お風呂・トイレ・リビングにも、ご主人様は居なかった。 やっぱり外に行ったのかぁ~? 玄関に行ってみてご主人様の靴があるか捜してみる。 「…靴はありますね。じゃあいったい何処に、あ!」 まだ行っていない場所がありました。 地下の部屋です。 そうと決まれば善は急げです! 私は走って地下に向かった。 …。 ……。 ………。 天薙の視点 「ヨッシャー!遂に完成したぞ!!試作型だけど…」 俺は小躍りしながら喜んでいた。 このアイテム開発に二月間は掛かったからなぁ。 眠気を振り払い作り上げたかいがあったというものだ。 「さて、と。作り終わった事だし、寝るとするか」 欠伸をしながら背筋を伸ばす。 景気に煙草に火をつけ一服する。 と、その時だ。 「あー!やっぱりここに居たー!!」 「なっ!?アンジェラス!?!?」 地上に通じる階段を下りて来たのはアンジェラスだった。 なんで起きてるんだ? オカシイなぁ、ちゃんと俺が確認した時は寝ていたのに。 まぁいいか。 「あっ!そうだ、丁度いい。お前、新しいアイテムを使ってみる気はあるか?」 「新しいアイテム?」 「そう。主にアンダーグラウンドで使うモノだな」 そう言いながら俺はアンジェラスを右手の平に乗らせる。 「そしてこいつ等がそのアイテムだ」 作業用の机に置かれている試作型戦闘機が二機。 一つは戦闘機らしい格好した軽装備の戦闘機。 もう一つの片方は武装神姫の部品で作られた重装備の戦闘機。 「アイテム補充偵察戦闘機、ストラヴァル。敵殲滅戦闘機、ストレガ。どっちも出来たばかりだが、それなりに使えるはずだ」 アンジェラスを作業用の机に下ろす。 するとアンジェラスはマジマジと二機の戦闘機を見る。 どの戦闘機も武装神姫より少し大きい。 歩きながら戦闘機にペタペタと触るアンジェラス。 「ねぇ、ご主人様。この大きさじゃ、座る場所がないじゃないですか」 「あぁん?誰が操縦席を作った、て言ったんだ?そんなモノはいらんねぇ~んだよ」 「じゃあどうやって操縦するのですか?」 「ここさ」 俺は左手の人差し指で自分の前頭葉を示した。 アンジェラスはこの意味が解らないのか、首を傾げて悩む。 しょうがない、説明してやるか。 「よーわだなぁ。戦闘機が搭乗してる神姫の脳波を感知し、その神姫が何処に行きたいかで戦闘機が動く。勿論、その神姫が戦闘機を自由自在に動かせる事もできる。脳波というより、電気信号を感知する感じだ」 「へぇ~、凄いですね。ご主人様って頭いいんですね」 「ん?それはちょっと違うかなぁ。ストラヴァルは姉貴の会社からデータをパクリ、改造したもので。ストレガに関してはストラヴァルとグラディウスをベースにし、武装神姫の部品で作ったものだ」 「…大丈夫ですか?会社の方から怒られちゃいますよ??」 「大丈夫。俺が作ったコンピュータウイルスは自分でも自負できるぐらいの出来さぁ。98%はバレねぇよ。それよりさぁ、まずはストラヴァルを試してみてよ。データも取りたいし」 「分かりました、ご主人様」 アンジェラスはストラヴァルの腹の部分の中に入る。 あ、ちょっと不服そうな顔をした。 「あの…ご主人様」 「なんだい?」 「あんまり居心地が…良くないのですけど」 まぁ、しょうがないだろうな。 下半身だけ固定して上半身だけはハダカの状態だからなぁ。 「ど~感じが悪い?」 「お腹を圧迫して痛いです。腰にも負担があって痛いです。常に顔を上げていないと前方が見えないので首が痛いです。それから」 「ストップ!…さっきから『痛い痛い』って、少しは我慢してくれよ~」 「だって、痛いだもん」 「だもんって…はぁ~、こりゃあストラヴァルは改善し直しかー。所詮、補充偵察戦闘機だからなぁ」 「もう出ていいですか?すでに首が痛いです」 「あぁ。すぐに降りていいぞ」 アンジェラスはストラヴァルを降りて右手で首を摩る。 そんなに痛かったのか? こんな調子だとストレガも駄目おしされそうだぜ。 でもストレガはリアパーツに似ているから多少は違うと思う。 …ストラヴァルより、かなり重いけど。 「それじゃあ今度はストレガを装着して」 「装着ですか?」 「こいつはヘビー級のリアパーツだと思ってくれ」 「はい。では装着しますね」 「おう」 「んっしょっと」 『んっしょっと』はないだろ。 女の子としてちょっとどーかと思うぞ。 「ウッ…ちょっと重いですね」 「ストレガは地上用の『足』がついてる。ちょっと操縦してみ」 「はい」 アンジェラスは目を閉じ、ストレガに『足』を出すように命令する。 すると機械音をだしながら二つの『足』が出でてきて、しっかりと地面に固定させる。 「フゥー、これでいくらかマシになりました」 「安定性は大丈夫みたいだな。居心地の方はどうだい?」 「悪くないです。ですが、両方に付いてるミサイルランチャーのトリガーに手を伸ばすのが少し辛いかもしれません」 あぁ~、それはあるかもしれない。 ノーマルのストレガはミサイルランチャーの改善っと。 ふむ、よし次だ。 「アンジェラス。次はEXストレガだ」 「EXですか?」 「あぁ、こいつにはEXというさらに改良した機体になることが出来るんだ」 「じゃあ、一回装着を外しますね」 「いや、そのままでいい。俺がパーツをつけるから」 俺はストレガのEXパーツを次々に取り付ける。 これで格段に重くなったが『足』があるおかげで大丈夫だろう。 そして最後にアンジェラスにホーンスナイパーライフルを二丁渡した。 「どうだ?」 「う~ん、かなり武装が強くなりましたけど。ちょっと不恰好じゃないですか、これでちゃんと飛べるんですか?」 「飛べないと意味がない。安心しろ、ちゃんと飛べる」 「でも、この戦闘機が撃墜された時はどうするんですか?」 「その時も大丈夫。ヤられた時はストレガの全パーツがバラバラに分解され、お前のリアパーツは自動的に装着されるように作ってあるから」 「ホントに大丈夫ですか?それでー」 「だから大丈夫だって」 少しは信用してくれよう。 これもお前等のために作ったんだぜ。 アンダーグラウンドのバトルはただでさせ危険が沢山あるからな。 「サンキュー、かなりデータを取れた。もう外していいぜ」 「はい」 アンジェラスはストレガの装着部分を外し、ホーンスナイパーライフルを置く。 うん、一応完成したものの…まだまだ、改善する必要性はまだありそうだ。 こいつはもう少し時間がいるな。 「あ、そうそう。EXの場合、神姫が装着していな状態だと、こんな感じだ」 白い槍と風除けのパーツをつけた。 これでちょっと戦闘機ぽく見えるだろう。 「でも、この飛び出してる白いやつを抜いてくれないと私の頭が…」 「おっといけねぇー。説明するのを忘れていたぜ、今の状態は独立状態だったんだ」 神姫が装着していな時は体当たり攻撃用の槍が装着されているんだった。 すっかり忘れてたぜ。 独立状態は主に神姫のバックアップ専門をする戦闘機になる。 「今日はこんなもんだ、壱階に行くぞ」 「はい、ご主人様」 俺は右手の手の平にアンジェラスを乗せて地下の部屋を出ようとした。 するとアンジェラスが口を開いてこう言った。 「なんで、あんな物を作ったのですか?」 「俺はお前やアイツ等を危険な目に合わせたくないだけだ」 「危険だなんて。大丈夫ですよ、ご主人様。私達は強いですから」 「…そうだな」 確かにアンジェラス達はノーマルの神姫よりは強いと思う。 でも『上には上がいる』という、ことわざがある。 実際、現実的にそいう奴等はいる。 これからのバトルに何が起きるか解らない。 だから今のうちにバックアップを用意しとかないといけない。 …出来れば、あの二機の戦闘機を使う日がこない事を祈るだけ。 そう思いながら俺は地下の部屋の電気を消して一階に戻った。
https://w.atwiki.jp/busosodo/pages/111.html
【武装神姫】セッション3-1【SW2.0】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm19068237
https://w.atwiki.jp/busosodo/pages/104.html
【武装神姫】セッション1-2【SW2.0】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm18060010
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/578.html
前へ 先頭ページへ 次へ ? コンタクトイエロー~第一ラウンド終了 1312時 諸島沖合 B3甲板上(VR空間) 「そんなに私の貞操が奪いたいんですかっ!?」 乱れた髪をなおしつつ素っ頓狂な内容で声を裏返して、途端に自分の言った言葉にマイティは顔を真っ赤にして口元を押さえた。自分はまだ混乱したままなのか。それにしても貞操がどうのとか、そんな言動がでてしまうなんて、自分は変人、いや変神姫なんじゃなかろうか? 「やっぱりマイティはシュリーク(金切り声)だよね」 ねここと一緒に正座して小さくなっていたシエンがおずおずと申し出て、マイティは再び叫んだ。内容は覚えていない。 オービルのおかげでフルコンディションになった装備を纏って、その場から逃げるように再出撃。クリムゾンヘッドに乗り込んだシエンと、簡易装備のシューティングスターのねここが僚機として後方についた。 ◆ ◆ ◆ 同時刻 11番コンソールルーム 誰が見ても一連の光景は単なるコメディにしか受け取れない。 だがマスターだけは、素直に笑えない状況にあった。 マイティはまだこの状況に適応し切れていないのではないか。その上にねこことのドタバタやシエンのどさくさにまぎれた告白が重なって、彼女は不安定になっているに違いない。そんな状態で、いま戦場で幅を利かせているという黄色い翼の五体と戦えるのだろうか。疲労は問題にならないほど回復しているし、装備もオービルという優秀なメカニックのおかげで新品同様になった。一見なにも不都合は無い。 アクセス直後に垣間見せたマイティの新たな問題。おそらく、新しい環境に適応するのに時間がかかる、という問題。これは自分が感じている以上に深刻なのではないだろうか? 神姫としてプリセットで含まれている人間そして人間空間との交流行動、武装神姫としてプリセットされているバトルという環境。 それら以外の部分で、マイティは戸惑う。今まで体験したことの無いほど多くの神姫がいる空間、同じ神姫から間接的にとはいえ「好きだ」と告白された状況。出てくればまだまだあるだろう。バトル自体に問題は無くとも、それ以外の混乱要素がバトルに影響を与えることは十分にありうる。 棄権、という選択肢がマスターの脳裏に現れかかった。 「――とにかく、まずは戦ってみる、か」 誰にともなく呟いて、マスターは椅子にもたれて画面を見つめる。 判断材料が足りない。危ないが――ここは様子を見ることにしよう。 ◆ ◆ ◆ 1315時 諸島上空(VR空間) レッド、ブルーどちらのチームも、すでにその戦力の半分を切っていた。 さっきより閑散としている。もう目と鼻の先に迫っている戦闘空域を望遠で眺めて、マイティは無感動にそう思った。 かといって、先ほどよりも戦いやすくなったわけではないだろう。後に残った者ほど、つまりは運が良い、強いということなのだから。それに双方ともにターゲッティングするべき敵が少なくなった分、自分が狙われる割合も高くなる。 結局、こうむる手間はそれほど低減しない。 しかしあと十五分ちょっとだ。 さすがに、もう過労でぶっ倒れることなどないだろう。 件の五機はすぐに見つかった。戦場の真っ只中で悠々と飛んでいる。うち一機がスノーボウを追いかけている。翼のマーキングまで判別できる距離に近づいていた。白い文字で大きく「4」。 シーカー、ターゲッティング。 「散開。黄色を狙うときはなるべくツーマンセルでやりましょう」 素直にシエンとねここが揃って離れる。二体とも重攻撃戦闘スタイルだが、コンビならその速度の遅さもカバーできるだろう。 マイティはぐんぐん距離を詰めて、イエローの後ろにつける。 BGM Sitting Duck(エースコンバット04・シャッタードスカイ オリジナルサウンドトラックより) 1317時 コンタクトイエロー 「サレンフェイス、援護します」 スノーボウのTACネームを呼ぶ。しかしどうしてサレンフェイス(仏頂面)なのだろうとマイティは疑問に思う。マイティは彼女の普段の性格を見たことがない。マイティと接したときだけ、スノーボウの感情は若干豊かになる。口数も増える。その事実をマイティはまだ知らないし、ましてやなぜスノーボウが感情を表に出さないのかなど思い当たるはずも無い。 《ラジャー、シュリーク。そいつは後ろに撃ってくるわ。マニューバーに気をつけて》 「了解・・・・・・」 といい終える間もなく、そのイエローの顔がこちらを向いた。 いや、全身ごと真後ろにくるりと反転しているのだ。航行軌道を変えずに。 「うっ!?」 ミサイルと機銃弾の雨あられが真正面から殺到してくる。推進力を前方に返して急激なエアブレーキ、武装神姫であるがゆえの機動。慣性を利用し機首を真下に振り向け、ブースト。ぎりぎりのところで射線から逃れる。 アラートが止まない。放たれた四発のミサイルのうち、二発が執拗に追いかけてきている。避けられた二発はノーマルのスティレットミサイルらしかったが、追いかけてきたほうは姿かたちは似ていても高機動にチューンされたまるきりの別物だった。以前の巡航装備ならその推力で振り切れるほどの速度だが、今の機動重視構成では逃げることはできない。迎撃するかミサイルの燃料切れを待つしかない。 が、迎撃しようにもマグネティックランチャーを後ろに向けることができない。自分の最大推力プラス大G旋回でなんとか相対距離を維持できるのである。頭を傾けて後ろを確認しようとすれば空気抵抗が増して危ない。シロにゃんに後ろを向かせてロックオン。スティレットミサイルを迎撃にあてる。 ガラガラガラガラン。翼に出ている四発を全部後ろ向きに落として断続的に発射。 しかし、 「だめです、全然当たってません」 シロにゃんが報告する。 今度はハンドガンで牽制射撃。アルヴォは速射性、カロッテは威力で補い合う。両方、ワンマガジンを撃ち切る。だめだ、当たっていない。 マガジンチェンジはしない。セミアクティブのサイドボードから直接、銃へ装弾される。銃の中からチキ、チキ、と弾が「生えて」くる。バーチャルだからこそできる芸当。 さらに撃つ。撃ち切る。当たらない。急旋回。一瞬ミサイルは目標を見失うが、すぐに振り返って追いかける。 再装弾。撃つ。撃ち切る。当たらない。 追いかけながら回避運動もしている、あのミサイルは。 特殊装備の絶対的な性能アドバンテージ。 マイティの意識に影が差す。 いやな感覚を振り切って、もう一度、再装弾。撃つ。 五発目で一発に命中、迎撃。間を置いて撃ち切る寸前で、もう一発に命中。ミサイルは爆散。 その間にシロにゃんが黄色の4を探し当てていた。推力全開、インメルマンターン。イエロー4は執拗にスノーボウを追い掛け回している。自分が寝ている間に敵から恨みでも買ったのだろうか。 再びイエロー4の後方につく。さすがのスノーボウといえど、そろそろ引き剥がさなければまずい。 《・・・・・・チッ》 通信混戦。それを分かっているかのような舌打ち。まん前の黄色から。 今度は目を離さない。相手がくるりと体をこちらに向けるのが分かった。 その回転している一瞬が大きな隙だった。 この距離ならば当たる。 スティレットミサイルを四発全弾発射。 黄色はちょうど背中を見せている。 当たった。マイティは確信した。 その確信を打ち砕く信じられない光景が、マイティの目の前で繰り広げられた。 相手の反転速度がいきなり上がった。あの速度ではこちら、真後ろで止まれない。止まる必要が無いのだとすぐに分かった。 イエロー4の両手から赤い光条が伸びたかと思うと、迫り来るミサイルをひと撫でした。ライトセイバーだった。 あっけなく四発のミサイルが真っ二つに切られ爆発。 炎の合間から、鬼のような形相をした色黒のアーンヴァルの顔が覗いた。 背筋が凍った。 同時にマイティは、不思議なことにイエロー4の顔を事細かに捉えていた。 インド系に整形されたマスク。つややかなブルーブラックのウィッグ。よく手入れされた整形。オーナーの愛情が込められている。 が、マイティはその愛情がイエロー4自身ではなく、どこかあさっての方向を向いているような気がしていた。 相対距離が同調し、二体の間がぴたりと止まる。 しまった、隙を与えた!? 気づいたときにはイエロー4は赤いライトセイバーを振りかざして、マイティの目前にいた。 やられる! 間に何者かが割り込んだ。 ヘッドセンサー・アネーロの後ろに白い猫の耳が隠してあった。彼女がねこみみを付けていることを、マイティはいまさら知った。 セイバーの熱。切り裂かれる音。マイティは間近で感じた。あまりにもリアリティのあるエフェクト。VRの高性能。 スノーボウがマイティの目の前でポリゴンの塵と化し、消えた。 マイティの瞳から戦意が消えた。 もはや倒す価値も無い。そう判断したらしいイエロー4は、フンと鼻を鳴らして飛び去った。 その後のことは、マイティは覚えていない。ただ、生き延びたことは確かだった。第一ラウンド終了の合図がけたたましく鳴って、われに返った。 世界が消失する。次に出るのはまたあのブリーフィングルームだろう。だがマイティは、このまま消えてしまいたい心持ちだった。 1330時 第一ラウンド終了 中間制空権報告 レッドチームの若干有利 第二ラウンドフィールド選定 「海岸線」 前へ 先頭ページへ 次へ ?
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/228.html
春夏秋冬の日々 駄文著者 3スレ目70改め 永眠者>のifな(ご都合主義とも言う)武装神姫のお話し 登場する人&神姫の紹介 平日 プロローグ 一日目 二日目午前 二日目午後 三日目午前 三日目午後 休日 一日目 ご来店有難う御座います 本日 - 昨日 - 総計 - またのお越しをお待ちしています 07/09/09現在 初めての方、いらっしゃいませ 以前からの方、本当にご無沙汰しています。申し訳ない。 本当に久しぶりの更新でございます。 バトロンやったり、バトロンやったり、仕事でテンぱったり、バトロンやったり・・・ 複数の事が同時にこなせない量になって少し現実逃避したり。 あれからさらに新たな方達が増え毎日のチェックが楽しみな日々。 そして次の更新は年内に出来るのであろうか・・・では。
https://w.atwiki.jp/busosodo/pages/106.html
【武装神姫】セッション2-1【SW2.0】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm18416769
https://w.atwiki.jp/busosodo/pages/107.html
【武装神姫】セッション2-2【SW2.0】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm18583126
https://w.atwiki.jp/busosodo/pages/108.html
【武装神姫】セッション2-3【SW2.0】 http //www.nicovideo.jp/watch/sm18751782